筑豊取材メモ
● 桂川町に建設予定のゴミ焼却場計画が出来レースって本当ですか?
● 宮若市長のパワハラ報道の裏で何があったのですか?
筑豊地方にはよく取材で訪れています。少子高齢化と人口減少で、公共事業や安定した仕事は減りつつあります。経営者なら何とかしないといけないと思って当然です。
建設業の経営者の場合、公共工事を確実に手元に引き寄せる方法を考えます。また、全く異業種の介護事業に参入したり、社員を食わせていくために絶えず努力をしています。
しかし、政治家や行政職員を使って法やルールを破って、一部のグループだけが利益を得るケースが多発しているようです。あまりにやり過ぎると、他のグループから反発の声が上がります。首長や議員、警察や新聞社に訴えてもどうしようもない時、どこからともなく取材してほしいというSOSが入ってきてました。
ここでは、私の取材の中で掴んだ話題を2つ厳選してお伝えします。
● 桂川町に建設予定のゴミ焼却場計画が出来レースって本当ですか?
飯塚市・嘉麻市・桂川町・小竹町の衛生施設を運営する「ふくおか県央環境広域施設組合」は、新清掃工場の整備計画を進めており、7月29日から事業者の公募を始めました。建設と20年間の運営費の合計が約744億円のビッグプロジェクトですが、人口が減少する中で支払っていけるのか各市議会から疑問の声が上がっています。
そうした中、大手プラントメーカーN社と市議2名が組んで、1者入札を画策しているという噂が流れました。取材したところ、約10年ほど前、他県の新清掃工場建設でN社が1者入札で受注し、その後 地元の市議が新法人を設立し、工場内のリサイクル施設の運営を受注しているということが判りました。「メーカーが議員に地元対策や行政との調整を依頼し、完成した暁には議員も稼ぐ」というビジネスモデルでしょうか。
昔は業者同士の談合が主流でしたが、最近は官製談合が花盛りです。ではどうやって1者入札が可能になるのでしょうか。行政(市長・町長または幹部)と業者が手を結べば簡単なこと、特定の会社だけが入れる条件を設定するだけです。また、怪しまれないように、ダミーとしてもう1者か2者入札に参加させ、競争したように装う方法もあります。
ちなみに、筑豊では珍しいことではなさそうです。官製談合が行われると、落札価格が予定価格いっぱいになることが多く、住民は無駄に高い建設費を支払わされていることになります。

● 宮若市長のパワハラ報道の裏で何があったのですか?
パワハラ政治家としてマスコミ報道する宮若市の塩川秀敏市長、時代に合わない叱責などがあったことは事実のようですが、昨年11月、あのドライブレコーダーの映像がニュースで流れた時は強い違和感を覚えました。あれは半年前の映像、これがなぜマスコミに渡ったのか。元々「政争の街」ということを忘れていけません。
事の発端は令和4年2月、市長選挙直前に地区のコミュニティセンター建替えの話がありましたが、移転場所の土地購入に政治家が絡んでいるという噂が広がりました。激戦を制し当選した塩川市長は移転見直しを表明しましたが、議会の推進派は市長が提案した令和4年度予算案を否決し抵抗、移転費用を認めさせました。
しかし、市長を執行せず、1年後に市長が令和5年度予算案から移転費用を完全に削除したため、再び推進派が予算案を否決、再度予算化させたのです。ドライブレコーダーの映像が録画されたのはちょうどその頃です。
そして、昨年11月の臨時議会で、市長は「移転ではなく現地建替え」を表明しました。推進派が怒るのも容易に想像できます。マスコミ報道はその数週間後でした。市長が言うことを聞かないので、推進派が「失脚させる材料」を探すよう近しい職員に指示し、話題性のある映像を入手できたことから、市長が意に沿わない行動に出た時の切り札に使ったと見られています。
